◆本時の目標
・室町時代の村長になったつもりで、隣村との戦争に勝つ作戦を考えさせることで、惣村の実態に迫る。

◆この教材は、ちくま新書の「百姓から見た戦国大名」をヒントに作りました。
*この本は、中世の農村が常に飢餓と戦争の不安にさらされていたことを背景として、戦国時代を農民の立場から説明しています。村同士の戦争の記述(p69~)もあり、この箇所を読んで、中世の村についての考え方が大きく変わりました。


◆課題 : 各グループで、A村の村長になったつもりでB村との戦争に勝つ作戦を考えよう。

中世の農村【惣村の争い】

 

【条件➀】
・B村とは昔から仲が悪く、20年前と10年前にも大きな戦争をした。
・A村はE村とF村に親戚が多い。
・A村はD村とも仲が悪い。

【条件➁】
・B村はC村に親戚が多い。
・B村はG村と仲が悪い。
・B村はE村とF村と仲がいい。

◎次のことを念頭に置いて、作戦を考えましょう。
➀ お金をどうする。
➁ 食料をどうする。
➂ 兵士をどうする。
➃ 武器をどうする。
➄ 死傷者をどうする。

 

◆生徒の反応
・予想以上に熱心に考えます。ただ、長期的な視野に立って作戦を立てるのは難しいようです。
・机間指導をするときに、「お金や食料はどうするの。兵士はどうするの。どこかと同盟を結んだらどう。」等、適宜アドバイスをする必要があります。
・お金や食料は奪えばいいという短絡的な意見が多いのですが、ときどき、土倉酒屋から借金をするとか、日頃から仲のいい村に恩を売っておく等、鋭いことを言う生徒もいます。

◎村々を支配する領主に注目して、「領主の●●氏に仲裁をお願いする。領主の●●氏に賄賂を渡して自分たちの村にとって有利な判断をしてもらう。」という意見があれば、最高だと思うのですが・・・・・・

◆このシミュレーションをした後、村同士の団結や、地域を自分たちで運営する自治について説明します。
惣村(惣)寄合、村のおきて等

◆戦国時代について
・ここで惣村の実態を押さえておけば、戦国時代を扱うときに、戦国時代が単なる戦国大名の国盗り合戦ではないことがうまく説明できると思います。