イギリスBBCの子ども向けサイト「Victorian Britain: Children in coal mines」から、産業革命期における児童の炭鉱労働について見てみましょう。

1. 絵画史料等について

1842年 児童労働の報告書(Report on child labour)

1842年 児童労働の報告書(Report on child labour)

1842年 立坑を降りる児童

以上3つの絵画史料は、1842年に出された児童労働の報告書(Report on child labour)の挿絵です。

このレポートを受け、1842年に 鉱山および石炭鉱業法(Mines and Collieries Act)が制定され、ようやく10歳未満の児童の炭鉱における労働が禁止されました。

*このレポートが作成される4年前、1838年にシルクストーンの近くの Huskar Colliery鉱山 で子ども26人(男15,女11)が坑道の中で溺死する炭鉱事故が起こっています。

2. ビクトリア時代と石炭産業について

このサイトの上にあるは、ビクトリア女王の生涯と英国の石炭の歴史をリンクさせているようです。

1818   Queen Victoria is born (ビクトリア女王誕生)
1830   First steam railway (最初の蒸気機関車の鉄道)
1837   Victoria becomes queen (ビクトリア女王即位)
1842   The first Mine Act (鉱山における児童労働禁止法)
1872   First soccer FA Cup Final is played (FAカップ第1回大会決勝)
*1872年3月16日、FAカップ第1回大会決勝においてワンダラーズFCが優勝。
*FA(The Football Association):イングランドサッカー協会
1901   Queen Victoria dies (ビクトリア女王崩御)

3. 民間鉄道について

最後に次の絵画史料を見てください。詳しく見てみると、工場の敷地を走っている蒸気機関車を確認できます。



BBCのキャプションには、『Coal mining was an important industry. Hetton Colliery, near Sunderland, (pictured) had one of the world’s first private steam railways, opened in 1822.』と記されています。

イギリス北西部にあるサンダーランドは北海に面し、造船業と石炭産業がさかんな港湾都市です。その近くにあるヘットン・コリアリー(Hetton Colliery)に、1822年に世界で初めて蒸気機関車が走る線路が敷かれたようです。

*ヘットン・コリアリーについて、いろいろ調べてみましたがよく分かりませんでした。ただ、Hetton colliery railway という鉄道会社があり、鉱山の名前は Hetton-le-Hole(?)、鉄道の延長は0.8マイル(約13km)だったようです。(?)



*ちなみにイギリスで最初に開業したのは、1825年のスットックン&ダーリントン鉄道とされています。

*リバプール&マンチェスター鉄道が開通したのは、1830年です。

産業革命期の児童労働者 ~ The White Slaves of England ~

産業革命期のイギリスの鉄道網(1836年頃)