アメリカで鉄道建設が始まった頃、ニューヨークとシカゴの間に敷かれた鉄道沿線にある主な都市を上げると、東からオールバニー、ロチェスター、バッファロー、クリーブランド、トレドがあります。

なかでも、クリーブランドは、エリー湖畔の最大の港町であったこと、シカゴ、ニューヨークとのアクセス(鉄道)のよさ等の好条件が重なって、いち早く工業都市として発展しました。また、バッファローも鉄道やエリー運河の水運のよさにより発展します。

ところが、デトロイトはニューヨークとシカゴ間を結ぶ鉄道路線から80km以上も北に離れていたことから、クリーブランドやバッファローに比べると、少々発展が遅れました。

しかしながら、20世紀の初めに自動車産業が興り、フォードやGMなどがデトロイト及びその周辺の都市に工場を立てるようになると、ミシガン州の南東部には様々な部品工場が集まってきました。

現在、・ミシガン州の自動車生産台数は、全米の生産台数の約1/4をしめており、デトロイトは、自動車の町・モータウン(Motown)とよばれています。

ミシガン州南東部に自動車産業が発達したのは、近くにクリーブランドやピッツバーグなど鉄鋼業の町が存在したことも要因の一つです。

*グリーブランドとピッツバーグで鉄鋼業が発展した要因は、スペリオル湖周辺で採れる鉄鉱石、アパラチア山脈の石炭、そして五大湖の水運など、有利な条件がそろっていたからです。

ただ忘れてはならないのは、ミシガン州の自動車産業が大きく成長したのは、ここで生産された自動車が、五大湖の水運を利用して全米各地に運ばれたということです。

つまり、五大湖の水運は、原材料の運搬だけでなく製造品の運搬にも大きく貢献したのです。

特に、エリー運河の存在は大きく、デトロイトからエリー湖 ⇒ エリー運河 ⇒ ハドソン川というルートで、ニューヨークへ安い運賃で自動車を運ぶことができました。

◆ つまり、デトロイトが全米No.1の大都市ニューヨークと水運でつながっていたことは、製造した自動車の市場を押さえることにとても有利に作用したのです。

アメリカセンターJAPANNのホームページにある About THE USA 『米国の地理の概要 ー 米国製造業の中心地域』を参考にしました。