学校における働き方改革(3) ~ 今後もタダ働きは放置されるのか? ~

小川正人先生(放送大学教授)は、『学校とICT』(Sky株式会社)の2019年8月号において、教員の時間外勤務が見過ごされてきた要因につても触れられています。

(1) 「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)の趣旨からいえば、時間外勤務は原則命じず、命じる場合でも 超勤4項目 の勤務に限定し「臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに」限られている。

*超過4項目とは、①生徒の実習、②学校行事、③職員会議、④非常災害の4つです。

*給特法第6条第1項「教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。」

(2) しかしながら、超勤4項目以外は職務命令出ないため、あくまで教員が自発的に行った時間外勤務とみなされ、その抑制のための措置が図られてこなかった。

(3) 民間企業であれば時間外勤務手当が支給され、それが時間外勤務を抑制する誘因になるが、教員にはそれがなかったため、抑制されることがなかった。

*給特法第3条第2項で「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」ことが明記され、その代わりに 教職員調整額 が一律支給されている。

(4) 教員の時間外勤務のための手当てを導入すれば、1兆円から1兆数千億円の追加財源が必要になるという試算がある。

(5) そのため、給特法と教職員調整額については改めることなく、ガイドライン(2019年1月)においては、時間外勤務の上限が月45時間、年間360時間と明記されるにとどまった。

◇ そして最後に、次のようなことが記されています。

①ガイドラインの内容にはさまざまな弱点があるが、先ずは在校時間の適切な把握と管理をすることから始める。
②それを施策やPDCAサイクルに乗せていく。
③これらの延長線上に、教職員定数の改善や教職員調整額の増額、振替休暇等の代替措置といった新しい制度を検討する下地が整えられる。

◇ 超過勤務4項目については、給特法の第6条に基づき、昭和46(1971)年に「文部省教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合に関する規程」という訓令が通達されいます。この訓令では、超勤4項目とは、①生徒の実習、②学校行事、③職員会議、④非常災害 の4つであることが明記されています。

◇ また、文部科学省のHPでは、時間外に関する法令上の根拠も丁寧に解説・公開されています。

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