牛肉生産量No.1 ~インドのイスラム教徒とヒンドゥー教徒~
代々木ゼミナールの先生が書かれた「経済は地理から学べ!」は読まれましたか。
この本は、著者が言われるように、①立地、②資源、③貿易、④人口、⑤文化という5つの切り口(視点)で書かれており、地理の教材研究をする上でとても参考になります。
さて、この本のp246には、インドの牛肉生産とイスラム教徒について記されています。
➀ ヒンドゥー教徒80.5%、イスラム教徒13.4%、キリスト教徒2.3%、シーク教徒1.9%、仏教徒0.8%、ジャイナ教徒0.4% であり、約1億7567万人のイスラム教徒が存在する。
➁ ヒンドゥー教徒は牛肉を食べないが、イスラム教徒とキリスト教徒は食べるので、インドには2億人もの牛肉を食べられる人がいる。
➂ インドの牛の飼育数はブラジルに次いで多く、そのため、牛乳の生産量はアメリカについて世界2位、バターの生産量は世界最大を誇っている。
④ インドで生産された牛肉は国内でも消費されるが、多くを輸出に回しており、2012年には水牛を含めると、牛肉の輸出量は世界No.1である。
⑤ インド人は牛肉を食べないというイメージは、一面的なものである。
⑥ 2015年3月、マハラシュトラ州で、牛の食肉処理、牛肉の所持を禁止する法律が施行された。
⑦ 2015年9月28日、首都のニューデリーでイスラム教徒の男性が、ヒンドゥー教徒によって集団暴行を受けて殺害されるという事件が起こった。
⑧ 一部の過激化した人たちの愚行により、牛肉を巡って宗教間の争いが表面化してしまうのは残念である。
⑨ かつて、マハトマ・カンディーは「インドは、ヒンドゥー教徒のためだけにあるのではない」と言った。
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ネットで、「インドの闇を象徴する世界一の彫像―日本メディアに問われるもの」というサイトを見つけました。その要旨は次の通りです。
▪この世界一の像は、初代副首相を務めた パテル の像であり、ニューヨークの自由の女神の約2倍の高さ(182m)である。 *2018年10月に落成式が行われた。
▪パテルという人物は、ヒンドゥー至上主義団体「民族義勇団(RSS)」と結びつきがあり、独立にともなうインド・パキスタン戦争(1947)の外交的解決を目指したガンディーを批判した。
▪この像の建立は、インドにおける政教分離の後退を象徴している。