楽市について

以前『座』と『関所』についての教材を投稿しましたが、ちくま新書の「百姓から見た戦国大名」(ちくま新書)には『楽市』(p194)について次のように記されています。

楽市については、教科書的な古典的理解では、大名権力が従来の領主・寺社の宿・市支配の支配権を否定し、大名直轄下に置く政策、とされてきた、しかしそれは、表面的な支配者の交替を表現したものにすぎない。先の定書は宿町からの申請をうけて出されたものである。あるいは「楽市」と明記されている掟書でも、領主のもとに残されていたり、領主の取次ルートを通じて出されているものがあり、それらは領主の申請によって出されたことがはっきりしているから、そうした古典的な理解は誤りである。

楽市とは、大名が、宿町や市における「楽」(平和)を実現し、保障することを示すものであり、これまでみてきたような宿町において生じた紛争に、大名が最終的な平和の実現を担うことを示すものである。

私はこれまで、戦国時代の『楽市・楽座』について、次のような解釈で説明していました。

城下町を繁栄させるために、座をなくすことで、座に入っていない商人も自由に市に参加できるようにした。また、営業税も免除することで、商工業をさかんにした。

以上のように、楽市の『楽』の解釈について、教科書では、”自由・開放・廃止”、「百姓から見た戦国時代」では”安全・平和・保障”というように大きく違っています。

 

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