生きる力」という言葉は、現行の学習指導要領(H20年3月告示)において登場し、次期学習指導要領(H29年3月告示)でも引き続き使用されています。

文部科学省のホームページで探してみると、「生きる力」とは 、知・徳・体のバランスのとれた力のことであると、平成20年度文部科学白書文部科学省のリーフレット に明確に記されています。

では、「生き抜く力」の方はといえば、第2期教育振興基本計画 基本施策フォローアップ の資料の中に、基本的方向性1:社会を生き抜く力の養成 という資料があり、「生きる力」と同じ意味のように思われます。

なぜ、このようなことを調べようと思ったかというと、次期学習指導要領(H29年3月告示)の基礎となった『初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について』(H26年11月)という諮問文の冒頭に次のような記述があり、とても気になっていたからです。

今の子供たちやこれから誕生する子供たちが,成人して社会で活躍する頃には,我が国は,厳しい挑戦の時代を迎えていると予想されます。生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく変化し,子供たちが就くことになる職業の在り方についても,現在とは様変わりすることになるだろうと指摘されています。また,成熟社会を迎えた我が国が,個人と社会の豊かさを追求していくためには,一人一人の多様性を原動力とし,新たな価値を生み出していくことが必要となります。

我が国の将来を担う子供たちには,こうした変化を乗り越え,伝統や文化に立脚し,高い志や意欲を持つ自立した人間として,他者と協働しながら価値の創造に挑み,未来を切り開いていく力を身に付けることが求められます。

この冒頭の部分は、厳しい挑戦の時代を生き抜く力のことを言っているような気がします。

それから、この諮問文の中で私が注目しているのが「学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育」という箇所です。

 新しい時代に必要となる資質・能力の育成に関連して,これまでも,例えば,OECDが提唱するキー・コンピテンシーの育成に関する取組や,論理的思考力や表現力,探究心等を備えた人間育成を目指す国際バカロレアのカリキュラム,ユネスコが提唱する持続可能な開発のための教育(ESD)などの取組が実施されています。さらに,未曾有(みぞう)の大災害となった東日本大震災における困難を克服する中で,様々な現実的課題と関わりながら,被災地の復興と安全で安心な地域づくりを図るとともに,日本の未来を考えていこうとする新しい教育の取組も芽生えています。

これらの取組に共通しているのは,ある事柄に関する知識の伝達だけに偏らず,学ぶことと社会とのつながりをより意識した教育を行い,子供たちがそうした教育のプロセスを通じて,基礎的な知識・技能を習得するとともに,実社会や実生活の中でそれらを活用しながら,自ら課題を発見し,その解決に向けて主体的・協働的に探究し,学びの成果等を表現し,更に実践に生かしていけるようにすることが重要であるという視点です。
そのために必要な力を子供たちに育むためには,「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります。こうした学習・指導方法は,知識・技能を定着させる上でも,また,子供たちの学習意欲を高める上でも効果的であることが,これまでの実践の成果から指摘されています。
また,こうした学習・指導方法の改革と併せて,学びの成果として「どのような力が身に付いたか」に関する学習評価の在り方についても,同様の視点から改善を図る必要があると考えられます。

次のように要約できるような気がします。

厳しい挑戦の時代を生き抜くためには、知識偏重・知識伝達ではなく、学ぶことと社会とのつながりを意識した教育を充実しなければならない。

そして、生き抜く力を育むためには、知識の質や量の改善だけでなく、学びの質や深まりを重視する必要があり、そのためにアクティブ・ラーニングを取り入れなければならない。