私は Podcast をよく聴いていますが、お正月に放送された、文化放送オトナカレッジ図書館の『イスラム教とは何なのか?』という番組について紹介します。(私が調べたことも加筆してます。)
*この番組は、イラン人(ペルシャ人)に偶像崇拝の傾向があったという視点から、シーア派を説明しています。
◎ 駿台予備学校世界史科講師 茂木誠 という人のお話で、この人の著作『 世界史で学べ!地政学 』はお勧めです。
(1) 多神教と一神教について
➊ 日本人は無宗教ではないし、宗教をごちゃ混ぜにするのは日本人だけではない。
➋ キリスト教が入ってくる以前はヨーロッパも多神教であり、今でもその名残がある。
➌ 一神教の宗教は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つだけである。
*ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も同じ神様を祀っている。
(2) 偶像崇拝について
➊ キリスト教の聖書には、神の姿を像にして祀ってはいけないと記されている。
*イエス像もマリア像も祀ってはいけないが、偶像崇拝についてカトリックは少し甘いところがある。
*聖書に立ち返ろういう考えのプロテスタントには、マリア像はない。
➋ プロテスタントのルター派やカルバン派は、キリスト教原理主義である。
➌ イスラム教も神様の像を祀ってはいけないが、徐々に多神教の要素が入り偶像崇拝も行われるようになった。
*反発してコーランに立ち返ろうとう動きもある。これがイスラム原理主義である。
*つまり、イスラム教でもキリスト教と同じことがおこったといえる。
➍ シーア派は、イラン(ペルシャ)の宗教と混じってしまったものであり、偶像崇拝がみられる。
(3) 預言者について
➊ 神が人間に対してメッセージを伝えるときの媒体となるのが預言者である。
➋ イスラム教では、イエスも預言者の一人として認めており、ムハンマドは最後の預言者という見方をしている。
➌ コーランは、ムハンマドの口を通して神が語った言葉を記したものである。
(4) シーア派とスンニ派について
➊ シーア派は、ムハンマドの血統が特別な力をもっていると考えている。
*よってムハンマドの一族を祀ることになり、神様が一人という原則とずれてしまっている。
*シーア派はイランに多いが、アラブ人がイラン人に対してイスラム教を押し付けたという見方もできる。
*イラン人は古代ペルシャ人の末裔という意識を強くもっており、ペルシャの宗教があったところにイスラム教が入ってきたので、多神教が残ってしまった。
➋ スンニ派はコーランを重視しており、経典の一字一句に忠実であるべきという考え方である。
*そのため原理主義に走りやすいといえる。
➌ アラブ人のほとんどがスンニ派である。
➍ イスラム教徒の割合は、スンニ派9に対してシーア派1である。
➎ イスラム教徒のほとんどが穏健であり、原理主義が必ずしも過激派というわけではない。
*ISやアルカイダはスンニ派の原理主義であり、その中の過激派といえる。
*サウジアラビアは原理主義だが、決して過激派というわけではない。
*ISもサウジアラビアも同じ、スンニ派のワッハーブ派である。
◆シーア派 ・・・・・・・・ ムハンマドとアリーの血統を重んじ、その子孫のみを正当なカリフと認める。
◆スンニ派 ・・・・・・・・ ムハンマドのころからの慣行(スンナ)を重視する。
✩イスラム共同体では宗教指導者と政治的指導者が分離おらず、その指導者はカリフとよばれる。
✩シーア派とスンニ派の違いについては、 『教えて!尚子先生』というサイトが、とても分かりやすく説明しています。
ムハンマド没後、4代目のカリフまでは(正統カリフ時代:632~661年)、争いごとはありながらも分裂することはありませんでした。ところが4代目のアリーを境に、カリフはムハンマドの子孫であるべきだと主張する派(シーア派)と、子孫の中からではなく、話し合いによって皆から選ばれたものがカリフとなるべきと主張する派(スンニ派)に分裂してしまいます。
(5) なぜイスラム教には過激な一派が存在するのか?
➊ イスラム教はかなり若い宗教であり、ムハンマドが教えを説いてからまだ1400年しか経っていない。
*ISやアルカイダは18世紀に起こった ワッハーブ派 に属している。
➋ キリスト教は2000年の歴史があり、時が経つにつれて丸くなっていった。
*イエスが説いてから1400年ぐらいのことろは、イスラム教と同じように過激で、異端審問や宗教裁判なども行われていた。
➌ 近代になってヨーロッパの植民地になったことで、その反発からコーランに立ち返ろうという意識が強い。
➍ イスラム教は富の問題に敏感で、経済的な平等を重んじる。
*貧富の格差はあってはならず、ムハンマドは未亡人や孤児を引き取って面倒をみることを奨励している。
*資本主義のために貧富の格差が生まれたという考え方から、資本主義に反発する人達もいる。
➎ ”施し”はメッカ巡礼や礼拝なみに重要なことである。
*過激派は施しをしない政府は、アッラーの名において倒してもよいという発想をする。