霞が関の中央官庁(省庁)の多くは大名屋敷(江戸藩邸)の跡に建っていますが、「時のあかしに」というブログの中にある、「第4回 江戸古地図を学ぶ」という頁を参考にまとめたものを投稿します。

このブログは、嘉永3(1850)年の江戸の古地図をもとに投稿されたもので、古地図のタイトルは外桜田絵図です。

そして、上記のブログと嘉永3年の絵図を参考に私が自作したものが、下図です。

➀ 三宅土佐守 田原藩(三河国)・上屋敷 最高裁判所
➁ 井伊掃部頭 彦根藩(井伊直弼)・上屋敷 憲政記念館
③ 松平市正 大分杵築藩・上屋敷 警視庁
④ 戸田淡路守 美濃大垣新田藩・上屋敷  〃
⑤ 松平安芸守 広島藩(浅野家)・上屋敷 総務省  国土交通省
⑥ 松平美濃守 福岡藩(黒田家)・上屋敷 外務省
⑦ 松平伯耆守 丹後宮津藩・上屋敷 財務省
⑧ 内藤能登守 日向延岡藩・上屋敷 文部科学省
⑨ 上杉弾正大弼 米沢藩上杉家・上屋敷 法務省  検察庁

◇ 地図には、霞が関だけでなく、日比谷公園、永田町、さらには麹町も描かれています。

◇ 日比谷公園にあった大名屋敷は⑨~⑫ですが、詳細は下のとおりです。

⑩ 松平大膳大夫 長州藩(毛利家) 上屋敷
⑪ 松平肥前守 佐賀本藩(鍋島家) 上屋敷
⑫ 小笠原佐渡守 唐津藩(小笠原家) 上屋敷

◇ ⑬⑭の大名屋敷については、日比谷公園よりもさらに東にあった藩邸です。

◇ ⑬は薩摩藩宰相殿と記されており、薩摩藩(島津家)の中屋敷でした。後に鹿鳴館が建てられた場所でもあります。

◇ ⑬の薩摩藩中屋敷と山下門の間には、阿部播磨守(陸奥白河藩阿部家)の上屋敷がありました。ここは、帝国ホテルのある場所です。

◇ ⑭は鍋島紀伊守と記されており、佐賀支藩(小城鍋島家)の上屋敷がありました。ここは、東京電力や第一ホテル東京のある場所です。

*阿部播磨守:帝国ホテル   薩摩宰相殿:鹿鳴館

◆ 下図が嘉永3年の原図です。形がいびつで方角も不正確なのですが、細かいところまで書き込まれています。

国会議事堂は②井伊掃部頭(彦根藩)の上屋敷(憲政記念館)の西側で、参議院が永田伊織の屋敷、衆議院が大久保甚右衛門の屋敷があった場所に立地しています。

*永田氏と大久保氏は旗本のようです。下図では、東西が上下になています。

*参議院:永田伊織  *衆議院:大久保甚右衛門

◆ 上屋敷・中屋敷・下屋敷の区別をするときは、藩邸のマークに注目してください。上屋敷には家紋が入っています。のマークは中屋敷、のマークは下屋敷です。

*ただし、⑥松平美濃守(福岡黒田藩)の家紋はであり、餅紋とよばれています。

◆ 原図には、半蔵門から四谷門に至る縦の大通りに、麹町一丁目から十丁目までの文字が記されています。

◆ 私の自作地図と原図(嘉永3年)、そして千代田区観光協会が作成した下図を根気強く見比べれば、さらなる発見があると思います。

江戸城の基礎知識➄ ~ 老中の大名屋敷 ~