◆今回のテーマは 勘合の形状についてです。その材質は木や竹ではなく、紙であるということを念頭に読んでください。

*以下、勉誠出版「『日明関係史研究入門』 アジアのなかの遣明船」を参考文献として解説します。

1.「勘合符」という用語が今なお学術論文等に散見されるが、これは江戸時代に作られた造語であり、妥当な呼称ではない。(p483)

2.勘合は、中国の公文書の一様式であり、その大きさは、複雑な情報を多岐にわたって記入するため、かなり大判だったと推定される。(p484)

3.明朝の規定では、高さは78㎝であり、長さは➀93㎝、➁124㎝、③155㎝の3種類が存在していた。(p490)

4.この書籍のp489に、清代のものを参考として復元された勘合の写真が載っている。

*p489の勘合は、北海道大学の 橋本 雄 先生 が復元したもので、先生のブログでも紹介されいますが、渡航証明書兼貿易許可証である勘合について、その形や大きさが学界でも未解明だということです。

◆さて、私の学校では帝国書院の教科書を使用していますが、昨年度(H27年度)まで使っていた教科書には「正式な貿易船には,明から勘合という合い札が与えられたので,勘合貿易ともいいます。」と記されていました。

ところが、今年度(H28年度)から使用するようになった改訂版には「正式な貿易船には,明から勘合が与えられたので,勘合貿易ともいいます。」と書かれており、合い札という表現が削除されました。

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*上の写真は、小学6年生向けの「見える歴史」(Eテレ)で放送された映像をスクリーンショットで切り抜いたもので、北海道大学の 橋本 雄 先生が復元したもののようです。

*残念なことに、この番組はもう放送されていませんし、NHKデジタル教材の頁をのぞいても内容が公開されなくなっています。

勘合貿易➁ 義満は誰から何枚の勘合をもらったの?