◆本時の目標
・秩禄処分に対する士族の不満から反乱が起こり、やがて自由民権運動へと発展したことに関心をもたせる。
西南戦争が鎮圧された後、不平士族の運動が言論による運動へ移ったことを理解させる。


*上図は、授業用に作成した「金禄公債証書」です。
*下についてる30枚のクーポン券に注目してください。年に75万円の利子が付くという設定です。

◆授業で使用したPPT  「士族の反乱と自由民権運動の始まり」

1 自分にとって必要なものに✔を付けさせる。

□ 新聞、ラジオ、テレビ
□ 政治家を選ぶ権利(選挙権)
□ 政治家になる権利
□ 演説をする権利

2 生徒へ「政治に参加する権利がない場合、あなたならどうする?」と問いかける。

A. 武力に訴える。  B. 言論で権利を主張する。

*薩長を中心とした藩閥政治について復習する。

3 明治の初めに起こった士族による反乱について説明する。

*佐賀、萩、神風連、秋月、西南戦争

4 貧しい士族の立場で秩禄処分について考えさせる。

◎年収300万円の貧しい武士になったつもりで考えましょう。

・新政府は士族に退職金を払うことにしました。
・支給額は年収の5年分、つまり1500万円です。
・ただし、➀5年間は換金できない、➁6年目から毎年抽選(30年間)で換金に応じる、という条件がありました。
・利子は年に5% 1500×0.05 = 75万円 です。証書のクーポン券で利子が支払われます。

◎グループで考えましょう。
「なかなか抽選に当たりません。生活のため、あなたならどうしますか?」

[予想される解答]
・新政府に早くお金と交換してくれとデモを起こす。
・75万円では生活できないので、借金をする。
・アルバイトをして家族を養う。
・仲間と協力して反乱を起こすと、新政府をおどす。
・証書をお金持ちに買ってもらう。

5 士族の特権を廃止する政策に対して不満が高まり、反乱が起こったことを説明する。

6 生徒に対して「西南戦争が鎮圧された後、士族はどのようにして新政府に自分たちの要求を伝えようとしたのだろう。」と問いかける。

*士族の反乱が起こる前に、政府を去っていた板垣退助や江藤新平らによって「民撰議員設立建白書」が提出されていたことを補足する。
*士族が中心となり、自由民権運動が始まったことに気づかせる。
*やがて、豪農や商工業者も参加して、全国的な運動へと発展したことも押さえる。

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◆ 念願かなって金禄公債の電子データを、2018(平成30)年3月10日に手に入れました。下の画像がそれですが、日本銀行金融研究所アーカイブからいただいたものです。

金禄公債証書(表)

金禄公債証書(裏)

 

◆ この証書(表)の但し書きには、次のように記されています。

記録頭  印

此公債証書ハ明治九年第八月第百八号ノ公布ニ拠リテ令之ヲ交付ス
此証書ノ利息ハ明治十年ヨリ始メ明治三十九年迄年七分ノ割合ヲ以テ条例ノ如ク
年々両度ニ通貨ニテ払ヒ渡スベシ
此証書ノ元金ハ明治十五年ヨリ明治三十九年迄二十五ケ年ノ間毎年大蔵省ノ都合
ヲ以テ抽籤ノ方法ヲ用ヒ払ヒ戻スベシ
此証書ハ外国人ヲ除クノ外何人ニ論ナク譲渡ス?所持人ノ勝手タルベシ
但譲渡シノ時ニハ其所持人ヨリ何某ヘ譲渡シタルト云?ヲ証書ノ裏面ヘ細書シ調
印ノ上地方官庁ヘ差出シテ其捺印ヲ受クヘキモノナリ

明治十年一月四日

大蔵卿  印

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